Pixel 7 ProとPixel 8 Proの違い
Google Pixel 8 Proは10月4日発表、同月12日に発売された最新のGoogle Pixelスマートフォンです。
このモデルは昨年発売のGoogle Pixel 7 Proの後継機種として登場し、主な違いはSoC / ディスプレイ / カメラ / バッテリーの4つ。
今回の記事では、これら4つの主な違いについて詳しく解説すると共に、Pixel 8 Proにお金を出す価値があるのかどうか一緒に見て行きましょう。
1. SoC
Google Pixel 8 ProではSoCに「Google Tensor G3」を搭載。
Google Tensor G3はARMv9アーキテクチャを採用し、パフォーマンスに優れた「Cortex-X3」を1コア、性能と電力効率のバランスに優れた「Cortex-A715」を4コア、電力効率重視で省電力性能に優れた「Cortex-A510」を4コアの合計9コアCPU。
Cortex-X3は2.91GHz、Cortex-A715は2.37GHz、Cortex-A510は1.70GHzで稼働します。
Cortex-X3はSnapdragon 8 Gen 2にも搭載されているCPUですが、こちらのクロックは3.2GHz。Pixel 8 ProのCortex-X3は消費電力削減や発熱の抑制のためか、一般的なCortex-X3よりもクロックダウンされていますね。
その甲斐も虚しく、Pixel 8 Pro / Pixel 8はフル稼働時で最大45度〜46度に達したという検証結果があり、Tensorの発熱問題は相変わらずと言えるでしょう。
Tensor G3は発熱に問題を抱えていたSAMSUNG 4nmプロセスによって製造されているため、アツアツになることは必然かもしれません。
また、肝心のパフォーマンスについてはSnapdragon 8 Gen 2に遠く及ばず、長時間ゲームをすると処理性能がみるみる落ちてゆくとのことです。(たぶん発熱のせい)
GeekBenchでのスコアはSnapdragon 8 Gen 2より10%ほどしか変わらない値を記録していましたが、実際に高負荷作業を行うのは難しいと考えるのが妥当です。
ちなみに、GPUはTensor G2から世代アップし、Mali-G715を搭載しました。
ハードウェア自体は新しくなっていますが、やはり発熱が足を引っ張っている印象です。
次世代フラッグシップSoCのSnapdragon 8 Gen 3は今月中に発表を予定していますし、さらに言えば発表後すぐに8 Gen 3搭載の機種が複数発売予定です。
それらの機種と比べてしまうと、Pixel 8 Proのパフォーマンスは2歩も3歩も劣ります。(Tensorはパフォーマンスを売りにしているSoCではないことは重々承知していますが、価格がめっちゃ高いくせにこの性能かよって感じですね)
クラスター1 | クラスター2 | クラスター3 | クラスター4 | GPU | |
---|---|---|---|---|---|
Google Tensor G2 | Cortex-X2 2コア 2.85GHz | Cortex-A78 2コア 2.30GHz | Cortex-A55 4コア 1.80GHz | — | Mali-G710 7コア 890MHz |
Google Tensor G3 | Cortex-X3 1コア 2.91GHz | Cortex-A715 3コア2.37GHz | Cortex-A510 4コア 1.70GHz | — | Mali-G715 10コア 890MHz |
Snapdragon 8 Gen 3 | Cortex-X4 1コア 3.30GHz | 2コア 2.96GHz | 3コア 3.15GHz | 2コア 2.27GHz | Adreno 750 8コア 770MHz~1.0GHz |
2. ディスプレイ
Google Pixel 8 Proのディスプレイは6.7インチで、Pixel 7 Proの6.71インチからわずかに小型化します。
画面の角の丸みも増すことで、某iPhoneみたいな見た目に。
さらに、Pixel 6 Proから続く両サイドの湾曲は完全に消失し、これまたiPhoneのようなフラットディスプレイへと変わります。
外観だけでなく内部のスペックもいくつかの変更が加えられ、リフレッシュレートは60Hz~120Hzの間をスムーズに可変させられます。
例えば61Hzや73Hzのように細かい値でリフレッシュレートを切り替えることが可能というわけです。(切り替えは手動ではなく自動で行われるため、先述のような曖昧な値になることはおそらく無い)
スムーズな可変ができるようになるおかげで、幅広いコンテンツに最適なリフレッシュレートを選択し、バッテリーの消費量を抑えることができるはずです。
最大輝度は1600nitに増加。Pixel 7 Pro比で+100なので大した違いではありませんが、明るいに越したことは無いでしょう。
画面サイズ | 寸法 | 解像度 | ppi | リフレッシュレート | 角の半径 | |
---|---|---|---|---|---|---|
Pixel 7 Pro | 6.71インチ | 71x155mm | 3120 x 1440px | 512ppi | 30Hz / 60Hz / 120Hz | 50px |
Pixel 8 Pro | 6.7インチ | 70x155mm | 2992 x 1344px | 490ppi | 5Hz / 10Hz / 30Hz / 60Hz~120Hz | 115px |
3. カメラ
Google Pixelといえば、AIを活用したカメラが特徴的です。
Pixel 8 Proもいくつか面白い機能が追加されていますが、とりあえずハードウェアスペックから。
メインカメラは50MP F1.68 1/1.31インチ。つまりISOCELL GN1と同じスペックです。
ところが、発表会では「新しいイメージセンサーに置き換えられた」と明言していたため、たぶんISOCELL GNVになっているのでしょう。
ISOCELL GNVはGN1とほぼ同じスペックで、ISOCELL 3.0のおかげでReadNoise (RN)の改善などが見られますが、正直大して変わんないですね。
レンズがPixel 7 Proより明るいので、その点で低照度性能が少し改善していると考えられます。
超広角カメラは48MP 1/2.0インチ。ハードウェアを見る限り、IMX586の可能性が高そうです。
今更IMX586ってどうなん? って感じですが、マクロ機能が強化されたりしたらしいのでとりあえずヨシ。
ペリスコープ望遠カメラは光学5Xで、1/2.52インチのISOCELL GM5を搭載。レンズはF2.8です。
イメージセンサーや光学ズーム倍率はPixel 7 Proから変わっていませんが、レンズが明るくなったのは良いポイント。
作例を見る限りだとデジタルズーム性能も高く、30Xでもまあまあ綺麗な写真が撮れていました。
ソフトウェアの機能では、Pixel 7 Proにはなかった「撮影後に表情を変更する機能」「プロモード」「動画内の音声ノイズ除去機能」などが追加。
表情変更機能は、おそらくAIが生成したであろう人物の表情の選択肢から、任意で好きな表情に変更が可能です。
プロモードはISO / シャッタースピード / 撮影するレンズなどを細かく設定ができ、長時間露光撮影 / RAWを用いた天体撮影などができます。
これは他のAndroidフラッグシップだと搭載していて当然の機能なわけですが、Pixelには今までありませんでした。
音声ノイズ除去はその名前の通りの機能なので、詳細の説明は省きます。
さて、Pixel 8 Proのおおまかなカメラスペックはこんなところです。
確かに、良くはなっています。良くはなっていますが、Pixel 7 Proと比較して買う価値があるのかというと微妙です。
作例を見る限り、Pixel 8 ProとPixel 7 Proのカメラ性能に大幅な差は無く、正直Pixel 7 Proでも十分かなと思ってしまいます。
そもそもPixel 8 Proは大幅値上げしたクセに値段に見合ったスペックしてないんですよね。
4. バッテリー
Google Pixel 8 Proのバッテリーは若干の改良が加えられ、容量5050mAhで有線充電速度30W、無線充電で23Wです。
Pixel 7 Proからの変更点は容量と充電速度。バッテリー容量は50mAh増加し、充電速度は7Wほど速くなっています。
充電速度が速くなったとはいえ、正直30Wは激遅です。最近のフラッグシップはGalaxyが45W、Xiaomiが90W、OPPOが100W。
一部例外に27Wまでしか対応していないiPhoneっていうスマホがありますが、それ以外だと同レベルの充電速度はXperiaくらいなもんです。
さすがに、Androidフラッグシップの代表的な存在で30Wは信じられません。
他社と比べた時、Pixel 8 Proのバッテリースペックが劣っていることは明らか。値段高いんですから、もうちょっと頑張ってほしいところです。
価格
Google Pixel 7 Pro : 124,300円
Google Pixel 8 Pro : 159,900円 (Pixel 7 Pro比 +35,600円)
Pixel 8 Proはアホみたいに高いです。Pixelといえばコスパだったのに、この価格ではコスパ最悪スマホです。
16万円で発熱問題ヤバいSoC、数年前の古いハードウェアスペックのカメラ、旧規格のメモリ/ストレージ、激遅充電バッテリーなど、ほんとにあなた16万円ですか? というスペックをしています。
キャリアの施策で安くなった時を狙って買うのは良いと思いますが、直販サイトで16万だして買う価値はありません。
参考 : store.google.com
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