Snapdragon 8 Elite発表!
Qualcommは、最新のフラッグシップSoC「Snapdragon 8 Elite」を正式に発表しました。
この新しいSoCは、Snapdragon 8 Gen 3の後継として登場し、CPU、GPU、AI、電力効率において大幅なアップグレードが施されています。
特に3nmプロセスによる製造で、性能の向上とともに、エネルギー効率が飛躍的に改善されている点が注目されます。
具体的な値として、45%のCPU性能向上、40%のGPU性能向上、33%のISP改善、そして45%のNPU速度向上を実現しています。
さらに、2024年1月には、SAMSUNG Galaxy S25シリーズとともに、クロック速度が4.6 GHzに達するオーバークロック版が登場予定です。
スペックと機能の詳細まとめ
1.基本スペック
Snapdragon 8 EliteはTSMCのN3Eプロセスによって製造され、これによりCPUの消費電力は44%削減、GPUの消費電力は40%削減されました。また、全体的な電力効率も27%向上しています。
このチップセットは、Qualcommの新しいOryon CPUアーキテクチャを採用しており、2つのプライムコアが4.32 GHzで動作し、シングルコアとマルチコアのパフォーマンスがともに45%向上しています。
残りの6つのコアは3.53 GHzで動作し、24MBのキャッシュメモリがパフォーマンスを支えます。
Snapdragon 8 Eliteではメモリの対応幅も広がっており、5300 MHzのデュアルチャネルLPDDR5X RAMをサポートしており、前世代の4800 MHz RAMと比較して約10%の速度向上が図られています。
2. AI
AI性能も強化されており、6コアのベクターアクセラレータと8コアのスカラアクセラレータを備えたNPUによって、45%の速度向上を果たしています。
これにより、AIを活用した高度な写真編集など、デバイス上でのAIタスク処理が大幅に強化されています。
さらに、Snapdragon 8 EliteではQualcomm AI Engineを搭載しています。
生成型AIを用いたパーソナライズされたマルチモーダルアシスタントは、カメラやマイクを通じて物体を認識し、複雑な情報を瞬時に処理・要約します。
3. ゲーム体験の強化
Snapdragon 8 Eliteは、Unreal Engine 5.3とNanite技術に完全対応した初のモバイルSoCとなりました。
これにより、家庭用の高性能ゲーム機で見られるような映像美を、手軽にスマートフォンで体験することができ、ゲーム体験が一層没入感のあるものとなります。
リアルな体験を支えるレイトレーシング処理の効率は、新しいスライスアーキテクチャとオンボードGMEMによって35%改善しています。
4. カメラ機能
カメラ機能に関しても、33%改善されたISPの処理効率によって、高速かつ正確で高精細な映像を処理することが可能となっています。
この改善は、近年高度化している AI処理技術を支える重要な基盤となるでしょう。
例えば、Qualcommはカメラ機能に関して以下のような説明をしています。
ペットの写真撮影は、思いのほか難しいものです。犬が公園を駆け回っていたり、猫が高い場所に登っていたりすると、動きの速さに追いついて完璧な写真を撮るのは至難の業です。
しかし、Snapdragon 8 Eliteの”AI Pet Capture Suite”は、ペットの予測不可能な動きにも対応できるように設計されており、動いているペットの瞬間を鮮明に捉えることができます。
この革新的な機能により、ペットが動き回っている最中でも、ブレのないクリアな写真を撮影することができ、日々の生活の大切な瞬間を美しく記録することが可能です。
上記ではペットの撮影についてフォーカスされていますが、このような技術はスポーツなどの素早い動きをする被写体にも応用できると考えられ、今後のフラッグシップでは これを活かした新機能が登場するかもしれませんね。
また、高性能化したNPUを活用するカメラ機能として、「低照度条件下での色再現性」をピックアップしています。
特に注目すべき機能は、”無限セグメンテーション技術” です。この画期的な機能は、画像内の250以上のレイヤーを特定し、最適化する能力を持っており、前例のない制御と洗練度を提供します。
賑やかな都市の風景や広大な風景を撮影する際でも、無限セグメンテーションを活用することで、シーンのあらゆる部分が完璧にバランスを保ち、美しく詳細に描写されます。さらに、NPUを使用してセグメンテーションによるレイヤーを特定することで、AIアルゴリズムは、難しい照明条件下でも肌のトーンや空の色がどのように見えるべきかを予測することができます。これにより、どのような環境においても、理想的な色調を再現することが可能となります。
それ以外にも、動画や写真の編集機能も追加されています。
Video Object Eraserは、デバイス上で不要な要素を取り除くことができる直感的なツールであり、数回のタップでアーティファクトや背景の雑然とした部分を消去し、動画をクリーンで焦点が合ったものにすることができます。
また、AI Keeperツールは、写真編集の手間を軽減してくれます。画像内の重要な被写体を選択するだけで、AIが背景のノイズや不要な物体を取り除いてくれます。
5. ネットワーク
接続性に関しても、新しいSnapdragon X80モデムと5G Advanced、さらにはAI強化型Wi-Fi 7をサポートしています。
さらに、超広帯域技術もこのチップに統合されています。
6. リアルタイム映像/音声補正
照明条件が厳しい場所でビデオ通話に参加したりする際に、Snapdragon 8 EliteのリアルタイムAI映像補正機能は大きく役立ちそうです。
この革新的な機能は、ユーザーの顔に仮想的な可動光源を生成し、どのような照明条件であっても、常に最高の見栄えを実現するとのこと。
また、音声補正技術であるExpanded Personal Area Network(XPAN)は、移動中でも高品質なオーディオ体験を維持。
この技術は、ユーザーの周囲の環境に動的に適応し、音楽の途切れや通話の不安定さを解消します。
例えば、Bluetoothの範囲を超えて移動した場合でも、イヤーバッドやヘッドフォンが自動的にWi-Fi接続に切り替わり、部屋から部屋へ、さらには階をまたいでの移動でも安定したオーディオ接続を維持できます。
情報元 : www.qualcomm.com