夢のような三つ折りスマホが、あっけなく消えた
2025年末に満を持してデビューしたSAMSUNGの本格三つ折りスマートフォン「Galaxy Z TriFold」が、発売からわずか4か月ほどで完全に販売終了となりました。
SAMSUNGはアメリカのウェブサイト上で「限定版のGalaxy Z TriFoldは現在完売しています」と公式に説明しており、事実上の販売終了を認める形になっています。
もともとSAMSUNGは「大量販売はしない」という姿勢を示していましたが、「限定生産品だった」と公式に認めたのは今回が初めてです。
韓国では2026年3月中旬にすでに販売を終了しており、アメリカでも一時的に追加在庫が補充された後、今回の完売アナウンスで正式に幕を下ろしました。
これほどの話題性と技術的な注目を集めた製品が、これほど早く市場から姿を消すのは異例のことです。
その背景にある理由と、Galaxy Z TriFoldという製品が何を意味していたのかを振り返ります。
Galaxy Z TriFoldとはどんな製品だったのか

Galaxy Z TriFoldは2025年12月1日に正式発表され、韓国では同年12月12日から販売が始まりました。
製品の最大の特徴は、2か所のヒンジを持つボディで、縦方向に三分割される約10インチの大型フォルダブルディスプレイです。
たたんだ状態では通常のスマートフォンとして使え、外側にはGalaxy Z Fold7と共通の外部ディスプレイを搭載。開くと10インチ近いタブレット画面が現れ、さらにマウスやキーボードを接続すれば「Samsung DeX」によってPCに近い作業環境としても使えるという、スマートフォン・タブレット・PCの3役をこなす野心的なデバイスです。
米国での販売価格は2,899ドル(約44万円)と、スマートフォンとして過去最高クラスの価格設定でした。
スペックは最先端、しかし流用も多い
内部スペックについては、搭載SoCがQualcomm Snapdragon 8 Elite(2024年モデル)です。
カメラシステムについては、Galaxy Z Fold7のものをそのまま引き継ぐ形となっており、「三つ折り」という革新的な筐体構造に比べると、スペック的には必ずしも全面的な刷新とは言えない部分もありました。
10インチに迫る大画面という唯一無二の体験は評価に値しますが、カメラに関しては前世代のFold7ユーザーが買い替えるだけの差別化要因にはなりにくい設計でした。
4か月で終わった理由とは何か
「技術デモ」としての製品だった可能性が高い
販売終了の理由として、最も説得力がある見方は「Galaxy Z TriFoldはあくまでも技術力の誇示を目的とした製品だった」というものです。
SAMSUNGはこれまで、フォルダブル市場でのパイオニアとしてのポジションを守るために、技術的に先進的なデバイスを戦略的に市場に投じてきた歴史があります。
Galaxy Z TriFoldについても当初から「大量販売を意図したものではない」と社内で位置づけられていた可能性が高く、販売地域を韓国とアメリカに限定し、供給数を絞っていたのも、そうした方針の表れと見ることができます。
採算が合わない構造的な問題
もうひとつの現実的な理由として、製造コストの問題があります。
2か所のヒンジと三分割されるフレキシブルディスプレイという構造は、製造の難易度が通常の折りたたみスマートフォンよりも大幅に高く、歩留まり(製造した中で問題なく出荷できる割合)も低くなる傾向があります。
2,899ドルという価格は一見すると破格に高いように見えますが、これほど複雑な構造の製品を大量生産しながら利益を出すことは、現時点の技術水準では非常に難しいとされています。
韓国メディアの報道でも「収益の見込めない」製品であることが販売終了の背景として言及されており、採算性が根本的な障壁だったことが示唆されています。

日本では幻の存在に終わった
Galaxy Harajukuで「触れるだけ」だった
日本でGalaxy Z TriFoldが販売されることはありませんでした。
2026年2月には、東京・原宿の「Galaxy Harajuku」と大阪・なんばの「Galaxy Studio Osaka」で展示が始まりましたが、SAMSUNG自身が「この展示は日本導入を予告するものではありません」と明記していた通り、あくまでも体験展示にとどまりました。
韓国では8回の追加販売がいずれも即完売、アメリカでは発売後5分で在庫がなくなるという異例の人気を見せていただけに、日本のユーザーにとっては「見られても買えない」という歯がゆい状況が続いていました。
その後、3月には韓国での販売が終了し、今回のアメリカ完売アナウンスによって、日本未発売のまま歴史から消えることになりました。
ebayでは転売価格が高騰
市場から姿を消した現在、eBayなどの個人売買プラットフォームではGalaxy Z TriFoldに高額の転売価格が付いており、希少性がさらに高まっている状況です。
正規価格でも2,899ドルという製品が、さらに高い値段で流通しているという現実は、このデバイスへの需要が本物だったことを示す一方で、SAMSUNGが供給を絞りすぎたことへの批判にもつながっています。
次の三つ折りはあるのか
Galaxy Z TriFoldの後継機、あるいは同コンセプトの次世代モデルが登場するかどうかは、現時点では明らかになっていません。
2026年7月末に予定されているUnpacked Eventで発表予定の新モデルは、Galaxy Z Fold 8とGalaxy Z Fold 8 Ultraという2モデル体制で、いずれも従来の二つ折り型フォルダブルです。
三つ折り型の量産モデルが登場するとすれば、製造技術の成熟とコストの大幅な低下が前提条件となるでしょう。早くても2027年以降になるとみられています。
まとめ
Galaxy Z TriFoldは、発売からわずか4か月ほどで「限定生産品・完売」という形で市場から消えました。
技術的な先進性は本物でしたが、採算性の問題と限定生産という性質から、最初から「広く売るための製品」ではなかった可能性が高いです。
日本でもGalaxy HarajukuとGalaxy Studio Osakaで展示されましたが、ついに正式発売されることはなく、文字通り幻の存在となりました。
三つ折りという夢のフォームファクターが次世代モデルとして復活する日が来るとすれば、それはSAMSUNGが「大量生産できる技術水準に達した」ことの証明になるはずです。
その日を待ちながら、まずは2026年7月末のUnpacked Eventで何が発表されるかに注目しましょう。
参考 : https://winfuture.de / https://youtu.be/gubNCDuSJs8



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