GoogleはTensor G5をTSMC 3nmで製造予定
Googleは、現状のTensorシリーズの問題点を改善するために、これまで製造を委託していたSAMSUNGとの関係を切り、新たにTSMC製へと移行する予定です。
この情報はずっと前から言われていたことで、予定通り、次期Pixel 10シリーズに搭載される「Tensor G5」はTSMC 3nmで製造されます。
SAMSUNG 3nmと比べ、TSMC 3nmは性能と電力効率のバランスが良好と評価されており、このプロセスで製造されたチップでは消費電力を抑えつつ、高いパフォーマンスを発揮することが可能です。
また、TSMCの3nmプロセスは安定性にも定評があり、歩留まりが比較的高いとされています。
歩留まりが良いと、製造コストが下がり、企業にとってはより効率の良い生産が可能です。
TSMCは初期段階からAppleなどの大手企業向けに量産体制を整えてきたため、信頼性と実績の面でもSAMSUNGをリードしています。
ところが、Tensor G5の実際のパフォーマンスは、期待されていたほど高くはないかもしれません。
かなり微妙。Tensor G5のGeekBench6スコア公開
GeekBench6の公式サイトによると、Tensor G5はシングルコアが1,323、マルチコアが4,004という結果を記録しました。
このスコアがどれほど酷いのかというと、Snapdragon 8 Elite・Dimensity 9400・Apple A18 Proの半分以下で、スコア的には2年半前のSnapdragon 8+ Gen 1よりもちょっと低いくらいです。
Tensor G5のCPUコア構成はCortex-X4を1つ搭載し、クロック速度は3.4 GHz。
3.4GHzという最高クロック速度は、Snapdragon 8 Eliteの最低クロック速度よりも低いため、これがスコアの低さに影響しているのは明らかです。
そのほかに、2.86 GHzのCortex-A720が4つ、2.44 GHzのCortex-A520コアが2つという構成となっています。
ちなみに、これらのコアはTensor G4と全く同じで、A720が1つ増え、A520が1つ減ったというくらいしか違いがありません。
いくらTSMC 3nmへ移行するとはいえ、使用するCPUコアがTensor G4と全く同じなら、パフォーマンスの向上が望めないことは必然と言えます。
プロセス以降のおかげで発熱問題は多少改善されると見込まれますが、性能面についてはほぼ期待できないでしょう。
また、メモリはLPDDR5Xの12GBが搭載される予定です。
GeekbenchにはGPUに関する情報は含まれていませんが、以前のリークによると、Tensor G5にはデュアルコアのDXT-48-1536が搭載され、1,100 MHzで動作する予定です。
このGPUはレイトレーシングやGPU仮想化をサポートし、グラフィック機能においてはある程度の進化が見込めるかもしれません。
また、AIに関しては理論上40%のパフォーマンス向上を達成するとされていますが、実際のベンチマークでは14%程度の改善に留まる可能性があります。
パフォーマンス停滞によって、より高度なAIアプリケーションや大型のデバイス内言語モデルへの対応に苦戦すると考えられています。
QualcommやMediaTek、AppleがAIの分野で積極的に進展を遂げている中、GoogleのTensor G5は競争において一歩遅れることになり、Tensorシリーズに対する批判はさらに強くなりそうです。
もしこのまま低調なパフォーマンスで販売するとなると、次期Pixel 10シリーズの売上にも影響を及ぼすことも懸念されています。
日常のタスクはこれといった問題も無くこなせる性能があるとはいえ、他のフラッグシップSoCに対する優位性はほぼ何もないと言ってよく、あえてTensor G5を選ぶ理由が今のところ1つもありません。
ただし、今回のGeekbenchスコアはまだプロトタイプによるテストであるため、参考程度にとどめるべきという意見も多いです。
それは実際に正しく、発売間近のモデルはプロトタイプよりも優れたパフォーマンスを発揮することがほとんど。
Pixel 10シリーズもそうなることを祈っていますが、コア構成が今の情報のままであれば、発売間近のデバイスであったとしても大したスコアには至らないでしょう。
参考 : browser.geekbench.com / store.google.com
#tensor g5 性能 / #tensor g5 ベンチマーク