Google Pixel 9とPixel 8。何が変わったのか
Googleは、Pixelシリーズの最新スマートフォンとなる「Pixel 9シリーズ」を、例年よりも2ヶ月早い時期に発表しました。
今回のPixel 9シリーズは、コンパクトなPixel 9、コンパクトでスペックも高いPixel 9 Pro、大画面のPixel 9 Pro XL、そして折りたたみ式のPixel 9 Pro Foldという、4つのバリエーションで構成されています。
中でも注目を集めているのは、Pixel 8の後継機となるPixel 9と、コンパクトフラッグシップのPixel 9 Proです。
その2機種の中でも、この記事ではPixel 9の進化点についてフォーカスして見て行きましょう。
デザインとディスプレイ
Googleが満を持して発表したPixel 9。そのデザインとディスプレイに注目してみましょう。
Pixel 9は、前モデルのPixel 8からデザインを一新しました。
最近のトレンドを取り入れたフラットなデザインを採用し、よりスタイリッシュで高級感のあるイメージに変わっています。
背面のカメラユニットの形状も変更され、これまでのような端から端まで繋がっているスタイルではなく、Pixel Foldと同様の独立した形状となりました。
ディスプレイは、Pixel 8よりもわずかに大きくなった6.3インチのActua OLEDパネルを搭載。
リフレッシュレートは60~120Hzで、ピーク輝度は驚異的な2,700nitsを実現しています。
前モデルのPixel 8も2,000nitsの高輝度ディスプレイを特徴としていましたが、Pixel 9はその性能をさらに向上させています。
また、Pixel 9では指紋認証センサーが超音波式に変更されました。従来の光学式センサーよりも高速かつ正確な認証が可能となり、利便性が向上しています。
SoCとソフトウェア
Pixel 9シリーズは、最新のGoogle Tensor G4チップを搭載しています。
SoCの主な違いは以下の通りです。
CPU:
- コア構成が4+3+1となり、すべてのコアが新しいARMv9.2アーキテクチャを採用。
- 各コアの動作周波数がわずかに向上。
- コア数は減ったものの、新しいアーキテクチャにより単体性能は向上。
- 全体的なマルチコア性能はTensor G3とほぼ同等。
GPU:
- Tensor G3と同じくMali-G715を採用し、動作周波数がわずかに向上。
モデム:
- 新しいExynos Modem 5400を搭載し、衛星通信に対応。
- 消費電力が最大50%改善。
その他:
- パッケージング技術もFOPLPのまま。
- Edge TPU、GXP、BigWaveなどのカスタムチップはTensor G3から変更なし。
Tensor G4はTensor G3のマイナーチェンジであり、ベンチマーク上のスコアはTensor G3よりわずかに高い程度に留まっています。
また、Googleが強くプッシュしているAI性能に関しても、AI関連チップのEdge TPUがTensor G3と全く同じため、性能は一切変わっていません。
一方で、メモリ容量が12GBに増量され、これまでよりも余裕を持ったマルチタスクができるようになっています。
ソフトウェア面では、Pixel 9は何故かAndroid 14を搭載しました。
これは、おそらくAndroid 15の開発に遅延が発生しているためだと思われます。
もちろん7年間の長期アップデート保証がありますが、対象になるAndroidバージョンは最大でもAndroid 21まで。(Pixel 8のサポート期間と同じ)
カメラスペック
Pixel 9のカメラは、超広角カメラが大幅に進化しました。
解像度が48MPにアップし、センサーサイズは1/2.55インチに大型化。
レンズもF1.7に明るくなり、より低照度に強いカメラになっています。
メインカメラは、Pixel 8と同様の50MP 1/1.31インチのISOCELL GNKを搭載しています。
F1.68なので、レンズに関してもPixel 8から変わっていません。
ソフトウェア面に目を向けてみると、新しい超広角カメラに最適化されたナイトモードやマクロモードなど、Pixel 8にもあった既存機能をさらに強化しています。
また、AIを活用した新しい機能「一緒に写る」を使用すれば、自分がカメラを持って撮影した写真の中に、自分自身も合成してくれます。
さらに、編集マジックでは写真の範囲を広げたり、人物やモノの位置を自由に動かすこともできます。
バッテリー
Pixel 9は、前モデルのPixel 8と比較して、バッテリー容量がわずかに増加し、4,700mAhとなっています。
この僅かな容量アップに加え、新しいモデムの省電力性改善により、Pixel 9はPixel 8よりもバッテリー持ちが改善されると期待されています。
充電に関しては、Pixel 9もPixel 8と同様に最大27Wの有線充電に対応しています。
また、ワイヤレス充電にも対応しており、Pixel Standなどに対応した充電器を使用することで、手軽に充電を行うことができます。
価格はだいぶ値上げ
Pixel 9は、省電力性の向上、トップレベルのディスプレイ、超広角カメラ性能の強化、そしてトレンドに則ったスタイリッシュなデザインなど、Pixel 8に対して複数の改良が見られます。
スペックだけ見れば、Pixel 9は前モデルのPixel 8と比較して、より良い選択肢となるでしょう。
ただし、これらの進化に伴い、Pixel 9の価格はPixel 8の発売時よりも16,000円も値上げされています。
正直、値段が上がったならスペックも上がって当然です。
また、128,900円という価格は、ライバルのiPhone 15やGalaxy S24よりも高額。
Tensor G4のパフォーマンスがイマイチなことを考えると、ライバルに比べて競争力は弱いです。
さらには、来年発売のGoogle Pixel 10では、TSMC 3nmで製造されるGoogle完全オリジナルSoC「Tensor G5」が搭載される予定です。
Tensor G5は性能でも省電力性でもTensor G4を大きく上回ると予想されているため、1年後、Pixel 10が発売された時にはPixel 9はかなり微妙なスマホになってしまいます。
価格が据え置きならまだしも、16,000円の値上げ分の価値があるのかどうか… 私は無いと考えています。
今Pixel 9の購入を検討している方は、今持っているスマホを下取りに出したりして安く入手するのがおすすめです。
128,900円をそのまんま払ってPixel 9を買うのは、だいぶコスパが悪いです。
Pixel 9とPixel 8のスペック一覧
Google Pixel 9 | Google Pixel 8 | |
---|---|---|
ディスプレイ | ・6.3インチ ・OLED ・1080 x 2424px / FHD+ ・60Hz~120Hz ・可変式リフレッシュレート対応 ・ピーク輝度2,700nits / HDR時1800nits ・HDR ・画面占有率86.1% | ・6.2インチ ・OLED ・1080 x 2400px / FHD+ ・60Hz~120Hz ・可変式リフレッシュレート対応 ・ピーク輝度2,000nits / HDR時1400nits ・HDR ・画面占有率85.5% |
本体サイズ | ・152.8 x 72 x 8.5mm ・198g | ・150.5 x 70.8 x 8.9 mm ・187g |
SoC | ・Tensor G4 ・SAMSUNG 4nm ・3.1GHz ・Exynos 5400 ・1x 3.1 GHz – Cortex-X4 ・3x 2.6 GHz – Cortex-A720 ・4x 1.92 GHz – Cortex-A520 ・ARMv9.2-A | ・Tensor G3 ・SAMSUNG 4nm ・3.4GHz ・Exynos 5300i ・1x 2.91 GHz – Cortex-X3 ・4x 2.37 GHz – Cortex-A715 ・4x 1.7 GHz – Cortex-A510 ・ARMv9-A |
Antutu ver.10 | ・1,170,000点 | ・1,100,000点 |
GeekBench6 | ・シングルスコア 2,000点 ・マルチスコア 4,800点 | ・シングルスコア 1,600点 ・マルチスコア 4,150点 |
バッテリー | ・4,700mAh ・有線27W / 無線15W | ・4,575mAh ・有線27W / 無線18W |
メインカメラ | ・50MP ・ISOCELL GNK ・1/1.31インチ ・ƒ/1.68 ・1.2µm ・4in1ビニング時2.4μm | ・50MP ・ISOCELL GNK ・1/1.31インチ ・ƒ/1.68 ・1.2µm ・4in1ビニング時2.4μm |
超広角カメラ | ・50MP ・イメージセンサー不明 ・1/2.55インチ ・f/1.7 ・0.7 µm | ・12MP ・IMX386 ・1/2.9インチ ・f/2.2 ・1.25 µm |
望遠カメラ | ・なし | ・なし |
メモリ/ストレージ | ・12GB+128GB ・12GB+256GB (LPDDR5X + UFS3.1) | ・8GB+128GB ・8GB+256GB (LPDDR5X + UFS3.1) |
価格 | 128,900円 | 112,900円 |
発売日 | 2024年8月22日 | 2023年10月12日 |
参考 : store.google.com