Android 15正式リリース
最初の開発者向けプレビューが公開されてから約6ヶ月が経過し、ついに安定した最終版が2024年10月15日にリリースされました。
AOSPにはすでに先月提供されており、他のいくつかのメーカーも既にAndroid 15を配信しています。
Android 15の主な特徴としては、開発者がアプリをより効率的に作成できるような改良が施されている点が挙げられます。
例えば、パフォーマンスの向上やセキュリティの強化、新しいAPIの追加が行われており、これらは主にアプリの動作やデバイスの最適化に影響を与えるでしょう。
その一方で、ユーザー向けの目に見える変化は比較的少なく、システム全体の安定性やセキュリティ向上に関する改善が中心です。これらの改善は主にバックグラウンドで行われ、ユーザーの体験をよりスムーズにすることを目指しています。
現時点での具体的な機能については、まだ全てが明確になっていない部分もありますが、開発者やOEMが新しいAndroidバージョンに早く適応できるような基盤が整備されているのが特徴です。
主な新機能や強化ポイントは15個にまとめられており、この記事では特に目を引く変更点をまとめています。
サポート機種まとめ(Pixelのみ)
現在、Android 15がどのデバイスに提供されるかについては、Google Pixelシリーズのスマートフォンに関してのみ言及することができます。
Googleによれば、Android 15のアップデートを受ける予定のデバイスは、Pixel 6以降のモデルに限られています。
以下が、Android 15を受け取る予定のPixelデバイスのリストです。
Pixel 6
Pixel 6 Pro
Pixel 6a
Pixel 7
Pixel 7 Pro
Pixel 7a
Pixel Fold
Pixel Tablet
Pixel 8
Pixel 8 Pro
Pixel 8a
Pixel 9
Pixel 9 Pro
Pixel 9 Pro XL
Pixel 9 Pro Fold
これらのデバイスは、今後のアップデートを通じてAndroid 15を利用することができます。
Pixel 6シリーズに関しては、今回のAndroid 15でメジャーアップデートは終了するとのことです。
また、Google Pixel以外のAndroid搭載モデルについては、今後数ヶ月以内にはそれぞれのメーカーがアップデートを発信すると思われます。
Android 15の特徴と新機能
かこって検索 (Circle to Search)
「かこって検索」機能は、今年初めにGalaxy S24シリーズで登場した、画面上の内容を素早く検索できる便利な機能です。
この機能は、Android 15でさらに拡張されました。
新しいバージョンでは、ホームボタンやナビゲーションバーを長押しすることで「かこって検索」を起動できるようになり、音楽ボタンをタップすると、再生中の曲を識別することができます。
この機能を使用すると、一部の楽曲についてはYouTube動画へのリンクも表示され、曲を識別した後にそのまま視聴することも可能です。
これにより、ユーザーは現在流れている音楽を簡単に認識し、関連するコンテンツへアクセスすることができます。
TalkBack 15.0
Android 15は、視覚に障害のあるユーザー向けにGoogleのスクリーンリーダー「TalkBack」の機能を大幅に強化しました。
これにより、画像に対する詳細な音声説明が提供され、情報をより豊かに感じられるようになります。
今回、Googleの強力なGeminiモデルが統合され、TalkBackは対応するデバイスで広範囲の画像に対して、オブジェクトやシーン、アクションを認識し、詳細な音声説明を生成できるようになりました。
例えば、オンラインストアで「青いシャツ」を見た際、そのシャツのスタイルや生地、さらにはパターンまで詳細に説明を聞くことができます。
カメラロールをスクロールしながら、撮影したシーンを細かい説明で思い出すことも可能です。
さらに、テキストメッセージやソーシャルメディアの投稿も、視覚的な内容を説明的な物語に変換することで、よりアクセスしやすくなります。
この技術により、視覚と聴覚の体験のギャップが埋まり、ユーザーは画像とより深く関わることができるようになります。
WearOS向けオフラインGoogle Map
Android 15はWear OSにも新機能を提供します。それが「オフラインGoogleマップ」です。
これにより、スマートフォンに地図を保存し、インターネット接続がない状態でもスマートウォッチで地図を利用することができるようになります。
これにより、スマートウォッチの限られたストレージ容量を気にすることなく、都市を簡単にナビゲートできるようになります。
アーカイブ機能の改善
アプリのアーカイブ機能も改善され、Android 15ではより簡単にアプリをアーカイブおよびアンアーカイブできるようになります。
アーカイブとは、アプリをアンインストールせずにデータを保持したまま一時的に使用不可にする機能です。
これにより、ストレージを節約しつつ、アプリを再度使いたいときに簡単に元に戻せるようになります。
アンインストールする場合は、再ログインや設定の変更が必要ですが、アーカイブではその手間を省けます。
さらに、サードパーティ製のアプリストアもこの機能をサポートしやすくなる点が注目されます。
開発者向け:Edge-to-Edgeの実装手順改善
Android 15 Beta 1では、開発者向けの新しいツールも提供され、アプリが画面全体を使って表示される「エッジ・ツー・エッジ」表示の実装が容易になりました。
これにより、アプリの内容がシステムバーやデフォルトのバーの背後に配置され、透明または半透明になることで、よりスムーズなタッチ操作が可能になります。
これにより、ユーザーはアプリが画面全体を占めるような体験ができるようになります。
盗難検知ロックによるセキュリティ強化
Android 15は、新しい「盗難検出ロック」機能を導入し、AIを活用してユーザーのデータを守る新たな保護手段を提供します。
この機能は、もしスマートフォンが誰かに奪われ、逃走しようとするのを感知すると、自動的にデバイスをロックします。
従来の「リモートロック」機能も引き続き利用可能で、電話番号と簡単なセキュリティチェックを用いて、迅速にデバイスをロックできます。
なお、この機能はAndroid 10以降のデバイスにも提供される予定です。
Android 15では、さらに強化された保護機能が搭載され、パスワードを推測して機密情報にアクセスすることを防ぎます。
Googleは、SIMカードの取り外しや「端末を探す機能」の無効化など、泥棒がターゲットにする設定に対して認証要求を追加し、複数回の失敗した試行が検知された場合にデバイスをロックする仕組みが導入されています。
カメラ機能の強化
カメラ機能にも改善が施されており、特に「低光量ブースト機能」が新たに追加されました。
これにより、暗い環境でのプレビューが改善され、夜間の撮影時にフレーミングがしやすくなります。
また、QRコードの読み取りも極端に低い光条件下で可能になります。
加えて、ユーザーはフラッシュの強度をより細かく調整できるオプションも提供され、単発フラッシュや連続フラッシュライトモードの調整が可能になっています。
新しい電力消費量制御
パフォーマンス面では、GoogleはAndroid Dynamic Performance Frameworkの更新を行い、新たに「電力効率モード」が追加されました。
このモードは、パフォーマンスよりも電力消費を優先すべきスレッドを示すもので、CPUとGPUの作業時間を報告する機能も追加されています。
これにより、CPUとGPUは最適な周波数に調整され、発熱予測に基づいた熱的なスロットリングの状況も解釈できるようになります。
特定のデータを隠す、プライベートスペース機能
新機能「プライベートスペース」もAndroid 15に搭載されます。
名前の通り、この機能は他人に見られたくないアプリやデータを隠すためのものです。
特定のアプリからの通知もプライベートスペース内では非表示にでき、端末がロックされると自動的に隠れるように設定することもできます。